ACCESS 12  「さようなら」

 某部隊にO島士長(仮名)と言う人物がいる。

ちょっと変わっているが、まあいい奴である。

どのくらい変わっているかというと、中免で650CCのバイクに乗ったり、

酒を飲んで暴れたり、休みと勘違いして家に帰ったりするぐらいである。

まあそれはいいとして、一言で彼をたとえるなら、すれ違いの天才とでも呼

ぼうか、ずれている。

そんな彼は、一般隊員である。一般隊員というのは自衛隊にいる期間が決め

られている人のことで、昔「お兄さんいい体しているねー、自衛隊はいらな

い?」と誘われる人たちのことである。

2年または3年で、採用期限が切れるので俗に「アルバイト隊員」と呼ばれ

ている。

続けたいなら延長を申し出る。やめたいなら、そこで退職金をもらってさよ

ならとなる。

だいたい半年前に上司からどうするんだ、と聞かれるのだが、上司から嫌わ

れていたり、仕事で使えない奴と烙印を押されていたり、イチャッてる系の

奴だったりすると有無を言わせず退職に○が書いてあったりする。

そんな中、O島士長は半年前になったにもかかわらず上司から聞かれていな

かった。

別に嫌われていたとか言うのはなかった(と思う)。

しかしながら音沙汰がなかった。

H元士長はシャワーを浴びようとシャワー室に入ったところ同じようにシャ

ワーを浴びようとしていたO島士長がいた。

H元士長はその日部隊の掲示板の退職者一覧にO島士長の名前があったのを

見ていた。

しかも退職記念品の名前まで決まっていた。

「おー O島今度退職するんだってな。」

と別れを惜しむように言うと、

「え?やめませんよー・・・。」

と答えが返ってきた。

「掲示板に名前が載っていたぞ」

と事情を説明するとあわてて帰っていった。

その後の調べで、間違いで退職になっていた様で、寸でのところで首がつな

がったO島君であった。

ちなみに勝手に退職にしてしまった某S藤1尉によると、

「あれ? 違ったの? 退職だと思ってた。」とのことである。